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残業代請求、サービス残業など労務問題を主に扱う顧問弁護士

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未払い残業代請求

今回は、残業手当の請求に関する判例を紹介します(つづき)。 

第三 争点に対する判断
一 争点1について
1 労基法三七条一項の規定による割増賃金(残業代)の計算は、通常の労働時間の賃金の一時間当たり金額に二割五分を最低とする一定の割増率及び労働時間数を乗じて行われ、労基法施行規則(規則)一九条はその一時間当たり金額の求め方を賃金の種類ごとに規定しているが、日によって定められた賃金についてはその金額を一日の所定労働時間数で除した金額(同条二項)、月によって定められた賃金についてはその金額を月における所定労働時間数で除した金額(同条四項)であるのに対し、出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額(同条六項)である。右規定の趣旨は、請負給の場合には一定の労働時間に対応する一定の賃金が定められておらず、常に実際の出来高等に対応する賃金が請負給として支払われるから、時間当たり基礎賃金額の計算方法上も日給、月給等の場合と異なり、実際の支払賃金総額と総労働時間数によって算定することとしたものである。総労働時間数は実労働時間の総数であり、所定労働時間の内外を問わず、時間外又は休日労働時間数も含まれる。また、日給制や月給制によって賃金が定められている場合には、通常の労働時間の賃金に二割五分以上の加給をした金額が支払われなければならず、一時間当たりの金額に掛けるべき割増率は一・二五であるのに対し、出来高払制その他の請負給制によって賃金が定められている場合には、時間外における労働に対しても通常の労働時間の賃金(右割増率の一に相当する部分)は既に支払われているから、割増部分に当たる金額、すなわち時間当たり賃金の二割五分以上を支給すれば足りるのである。
2 右規定の趣旨に照らして、職務給が規則一九条六項にいう請負制によって定められた賃金に当たるか否かについて検討するに、業績指数だけをみれば、業績給については店所ごとの物的生産性(取扱重量)を所属職員の個別総労働時間数を物差しとして各職員に配分するものであり、乗務本給については職員個人の物的生産性(運転距離及び荷作業重量)に応じて指数が算出されているから、業績指数がそのまま支給金額に反映されていれば、職務給は実際に行われた労働に対する賃金が支給されるものとして請負給に当たるものと考えられる。しかしながら、職務給においては、業績指数を算出しSABCDの五段階にランク分けしたのち、職務給表へのあてはめが行われることによって、同一店所に勤務し、同一職務に従事する同一資格者であり、かつ一か月の出勤等日数が二四日である限り、必ずDランクの金額の支給を受け得るし、出勤等日数が二四日と異なれば、職務給表の金額を二四で割り出勤等日数を掛けた金額が支給されるのであるから、少なくともDランクの金額については請負給とはいえず、職務給表の金額を二四で割った金額が一日の所定労働時間八時間に対応する日によって定められた賃金に当たるといわなければならない。
3 次に、業績ランクによって変動する部分について検討するに、各ランク間の金額は二〇〇円刻みであり、最低のDランクと最高のSランクとの間の差額が八〇〇円にすぎないことは当事者間に争いがなく、〈証拠〉によれば、以下の事実を認めることができる。
(一) 被告は昭和五七年七月から、勤務地をaないしeの五ランクに分け(地域分けは職務給の別紙店所区分表と同一)、地域ごとに異なる金額(aランクは日額金二三〇円、bランクは日額金二〇五円、cランクは日額金一六〇円、dランクは日額金一一五円、eランクは日額金七〇円)を当該地域に勤務する従業員に支給する地域別業績給を導入した。被告は地域別業績給は請負給に当たるとして、割増賃金(残業代)算定に当たり総労働時間で割り割増率も〇・二五としていたが,同年一二月六日、一宮労働基準監督署の監督官から被告一宮支店に対し、割増率を一・二五に改めるよう是正勧告がなされた。これを受けて被告は、昭和五八年四月一六日に給与規程及び同細則を改正し、割増賃金(残業代)計算式のうち地域別業績給の部分を所定労働時間で割り一・二五を掛ける方式に改め、昭和五八年六月分給与支給時に昭和五七年九月分にさかのぼって差額を支給した。
(二) 被告は、原告らが所属する全日本運輸一般労働組合名鉄運輸支部に対する昭和五八年三月二八日付け労働条件等改訂申入書において、業績給及び乗務本給を年齢勤続による本人給、精励手当、家族手当、通勤費と並ぶ固定給的賃金として位置付けていたが、「残業計算は変動給の取扱い」と付記し、割増賃金(残業代)算定の関係でのみ請負給として扱う旨表明していた。また、右申入書によれば、改定のポイントとして、事務、現業、集配乗務職については、固定給の一部である能力給を職務給(業績給)に移行し、残業単価の引き下げを行い、これによって生じた原資を、生産奨励給(店所別の時間当たり純収入に基づいて算定し、個々人の労働時間に応じて比例配分する給与)ないし集配能率給(集配運転士につき、個別の稼働実績に基づいて算定し、個別の労働時間に応じて支給する給与)として配分することを掲げていた。 
(三) 被告が職務給の業績ランク間格差を二〇〇円刻み最大八〇〇円としたことに特別の根拠はなく、若干の格差を設けさえすればよいとの認識であった。
 以上の事実に照らして考えれば、職務給の本質は固定給(日給)であり、業績ランク別の最大八〇〇円の変動部分は、請負給(常に実際に行われた労働に対する賃金が支払われる)とはいえないものを、それらしく見せかけるための装飾的部分であり、労基法の定める割増賃金(残業代)の支払いを免れるための操作といわざるをえない。したがって、右変動部分についても請負給として扱うことは相当でなく、全体として固定給として扱うべきであり、時間外勤務(残業)時間及び深夜勤務(残業)時間に対する一時間当たり割増賃金(残業代)額は、別紙計算式「裁判所の採用する計算式」の時間外単価及び深夜単価記載の計算方法により算出すべきである。
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