残業代請求、サービス残業など労務問題を主に扱う顧問弁護士
今日は、名ばかり管理職(未払いの残業代請求の問題)について紹介します。
労働基準法32条より、法定労働時間は、「1日8時間、1週40時間」が大原則なのですが、管理監督者にはこの原則が適用されません。理由は、管理監督者は、労働管理において経営者と一体的立場にある者であるため、労働時間の規制になじまないからです。管理監督者の範囲を判断するのは難しいことですが、重要なのは、使用者の裁量で登用できる管理職と、労働時間規制の適用除外となる管理監督者の範囲は異なる、ということです。つまり、管理者の範囲は使用者が任意に決められますが、管理監督者の範囲は使用者が任意に決めることはできず、あくまでも労基法上で認められた範囲に限られるのです。管理監督者の範囲について、行政の解釈指針としては、管理監督者の範囲について、①労務管理について経営者と一体的な立場にある者であり、名称にとらわれず、実態に即して判断されること、②管理職手当や役職手当など賃金の待遇面で一般労働者に比べて優遇措置がとられていること、という基準を示しています。ここでは、「名称にとらわれず」というのが重要です。課長、部長の肩書きがあっても、実態として、責任や権限がない、地位にふさわしい基本給や手当てが支給されていないなどの事情を考慮して、管理監督者ではないと判断されることがあるのです。いわゆる、名ばかり管理職の問題です。各種裁判例で明らかになってきているように、管理監督者の範囲は裁判上厳格に判断されるため、残業代の不払い問題に繋がる可能性があります。十分にご注意ください。ご不明な点などがあれば、企業が契約している顧問弁護士にご相談ください。また、労働者の方で、残業代請求や不当な解雇などの労働問題でお困りの方は、一度弁護士に相談することをお勧めします。
なお、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際にご自身で解決することが難しい法律問題に直面した場合には、ご自身で判断してしまうのではなく、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。
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